サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2025.08.26

~「望まない孤独」のない社会をめざして~
特定非営利活動法人 あなたのいばしょ

孤独はあくまで主観的概念で、ひとりぼっち、と感じる精神的な状態を指します。社会的に孤立していなくても、孤独を感じる方は多くいます。

孤独の認識は人によって異なるので、とらえ方は人それぞれですし、年齢にかかわらず誰でも孤独を感じることがあります。いつでも起こりますし、私自身も明日には孤独になるかも知れません。

相談することは決して恥ずかしいことではありません。気軽に相談を寄せて下さい。

特定非営利活動法人 あなたのいばしょ 理事長 根岸 督和さん/広報・ファンドレイジング部部長 鈴木 ひかりさん

あなたのいばしょとは?

あなたのいばしょでは、24時間365日のチャット相談窓口を運営しています。いつでも誰でも年齢や性別に関係なく、どんな相談でも受け付ける仕組みを整えています。

「望まない孤独のない社会の実現」を目指すという理念のもと、2020年3月に組織を立ち上げました。当時はコロナウィルスの流行下で、若年層の自殺が社会的に取りざたされていました。最初は100名にも満たないボランティアが集まって活動をスタート。徐々に輪が広がり、現在は世界40カ国に1千人以上のボランティアスタッフと、それを支える約40名の職員で相談を受けています。

「望まない孤独」とは

孤独は、個人の社会的関係の欠如に起因する、主観的な体験であり、不快であり苦痛を伴うもの、と定義されています。似た言葉の「孤立」と混同されることがありますが、孤立は客観的な概念です。孤独はあくまで主観的概念で、ひとりぼっち、と感じる精神的な状態を指します。社会的に孤立していなくても、孤独を感じる方は多くいます。

社会的な環境が変化する中で、昔に比べると学校や職場、家庭、地域などでつながりが薄い社会になっていると思います。自分が望まないのに、孤独な環境になってしまって、寂しさを感じる方が増えているのです。私たちはこういった「望まない孤独のない社会の実現」を目指して活動しています。

悩みに寄り添うチャット相談事業

チャット相談事業は、我々の事業の中核的な活動です。24時間365日相談を受け付けており、1日に1千件以上、およそ1分に1件以上の相談があります。あなたのいばしょを設立してからこれまで累計で150万件以上、日本で最大規模の支援団体だと思います。

相談をいただくと最初にチャットボットが立ち上がり、性別や年代、お住まいの地域を都道府県レベルで選択、それから相談員につながる、という流れになっています。ボランティアのスタッフが中心ですが、緊急度が高いと判定された内容や虐待・DVなどの相談については、公認心理師や臨床心理士などの有資格者や、相談対応の経験が豊富な相談員が対応します。

ボランティアは学生から、仕事をリタイアした方まで、年代で言うと18歳から70代まで、さまざまな方がいます。私たちの理念に共感頂ける方に集まって頂き、約1カ月の研修を受けて頂いて合格した方のみが実際の相談を受けています。経験が長い相談員がフォローアップしたり、相談員同士で勉強会を開いたりして、実際の相談に生かせるような仕組みを整えています。

また職員には、社会福祉の現場で勤務経験がある方、知見がある方を中心に採用しています。相談者とは1対1で向き合いますが、実際には職員とボランティアの相談員が協力して相談にあたるので、チームワークも大切ですね。

(写真は事務局の様子。緊急度が高いと判定された相談時にはランプが点灯する。画面の一部に加工を加えています)

孤独を未然に防ぐ予防教育プログラム

チャット相談事業が中心ですが、「望まない孤独」やそこから派生する問題について理解してもらうため、学校や企業での講演やワークショップも実施しています。

孤独の認識は人によって異なるので、とらえ方は人それぞれですし、年齢にかかわらず誰でも孤独を感じることがあります。いつでも起こりますし、明日には孤独になるかも知れません。

このようなことを念頭に、法人のスタッフが学校や企業などに足を運んで、スライドや写真を交えて説明したり、討論したりします。 多くの方に孤独について考えるきっかけにしてもらいたいのです。そして理解を深めて頂くことが、孤独の重症化やそれに付随するメンタルヘルスの問題を防ぐ一歩であると考えています。

(写真は法人が製作したクリアファイル。二次元コードを読み込むとチャット相談につながる)

データ活用と連携、ウェルネス事業

私たちの元には1日に約100万字にも及ぶ相談が寄せられます。日々の活動で非常に多くの匿名のテキストデータが集まっていくので、自治体などにとって価値のあるものであれば、分析をして、社会課題の解決を目指しています。

我々のデータとチャット相談の仕組みを組み合わせ、自治体ごとにカスタマイズして提供しているのがウェルネス事業です。さまざまな相談を受けていく中で、各自治体の担当者から、自分たちの街で課題になっている相談内容を知りたいという問い合わせを受ける機会が増えました。そこで我々のチャット相談事業の枠組みやノウハウを生かし、連携する市区町村ごとに独自の相談窓口を開設しています。

自治体専用のホームページを開設して、そこに寄せられた相談については24時間365日我々の相談員が応対します。緊急の場合には、市区町村の担当窓口にすぐにつなぐことができたり、地域に特化した解像度の高いデータを取得できたり、といった強みがあります。

現在、品川区や調布市などで事業を実施しています。

(写真左は根岸 督和さん、右は鈴木 ひかりさん)

あなたのいばしょの支援の特徴は

ひとつは、約40カ国におよぶ海外在住の日本にルーツを持つボランティアのネットワークです。自殺など深刻な内容の相談は深夜から未明にかけての時間帯に多いのですが、国内の相談員だけでは、多くの相談を迅速に受け付けることができません。海外在住の日本人に多数参画頂くことで、昼夜問わず相談が来ることが強みのひとつです。

また、匿名で相談を受け付けるので、身近な方には話しにくいことや、本音を語れる、という面もあると思います。

中には何度も相談を寄せて頂く方や、SNSのトラブルで人を傷つけてしまったという方からの相談もあります。私たちは、相談者の方が「話してスッキリした」と感じ、次の(前向きな)アクションにつなげて頂く、そういうお手伝いができることが大きいと思っています。

(写真は事務局に掛けられた時計。世界各地の時刻がわかるようになっている)

外部との連携や発信にも注力

我々のチャット相談は傾聴に徹しています。こちらからアドバイスを押しつけるのではなく、相談者自身の力で課題を解決するサポートを重視しています。必要に応じて行政窓口や連携団体の情報を相談者に提供するケースも多くあります。ただ、いのちの危険がある状況では、我々が行政機関に連絡するケースもあります。

やりとりの中で相談者との信頼関係をきちんと築いて、相手の意思を尊重しながらケースバイケースで対応するようにしています。

また、孤独や社会的孤立などの課題に取り組む国際組織「Global Initiative on Loneliness and Connection (GILC)」に加盟して、国際会議にも積極的に参加しています。日本の活動を発信しながら、各国の事例を把握して、活動に生かしています。

あたたかい言葉がスタッフの支えに

実際にチャット相談を利用した人に行ったアンケートでは「自分のつらい気持ちを吐露しても寄り添ってくれる相談員さんがいることに安心した。自分の気持ちを文字で可視化でき、それに対して寄り添ってくれて感謝です」「やさしく寄り添ってくれて、自分の伝えたいことは家族ですら伝わらなかったのに、相談員の方には伝わったことが何より嬉しかったです」などの声が寄せられています。

こういったあたたかい言葉が私たちの支えになっています。また後日、相談をきっかけに立ち直ったり、成長したりしたことを報告してくれる方もいて、相談員の間で共有して励みにしています。

相談することは恥ずかしいことではない

相談することは決して恥ずかしいことではありません。私たちは24時間365日、無料かつ匿名で相談できる窓口=あなたのいばしょチャット相談を用意しています。気軽に相談を寄せて下さい。

あなたのいばしょチャット相談(特定非営利活動法人 あなたのいばしょHP)

https://talkme.jp/