サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2025.11.25

~生きづらさを抱える人に、 こころに寄り添うサポートを。~
NPO法人CNSネットワーク協議会

心のケアを必要とする当事者へのサポートに加え、当事者を支える家族を対象にした家族会も運営しています。

私たちのサポートの理想は、利用者の方にとって「必要がなくなる」ことだと思っています。

焦る必要はないので、少し前向きになったり、思い立ったときに相談できる候補のひとつにほっといい場所ひだまりをリストアップしておいてください。

NPO法人CNSネットワーク協議会 理事 石黒 薫さん/臨床心理士 時田 椋子さん

ほっといい場所ひだまりはどんな場所?

ほっといい場所ひだまりは、対人関係やメンタルヘルスに不調を抱える方、さらにひきこもりや不登校で悩む方を対象とした居場所(フリースペース)です。

運営しているCNSネットワーク協議会は元々、精神科の医師や看護師などの精神医療にかかわる専門家を中心に設立された団体です。病院やクリニックではなく、より気軽に心のケアやサポートを提供できる場として、2017年度にほっといい場所ひだまりを開設しました。

心のケアを必要とする当事者へのサポートに加え、当事者を支える家族を対象にした家族会も運営しています。

様々な過ごし方をサポート

居場所(フリースペース)は、毎週金曜日の午前10時半~12時に提供しています。当日の体調や本人の希望に合わせて様々な過ごし方ができることが特長です。

一週間の振り返りや体調などについてうかがった後に、本人の希望を確認してプログラムの内容を決めていきます。ボードゲームをしたり、作品を制作したりして楽しい時間を過ごすこともできますし、コミュニケーションの取り方を練習するといったこともできます。

また、「東京都庁に行ってみたい」という利用者さんと出かけたり、季節に合わせたお花見や紅葉狩りなどの散策に行ったりすることもあります。

利用者は、20~40代の男女が中心です。数名~10人程度の利用者がおり、基本的にスタッフがマンツーマンで付き添ってサポートします。

専門知識が豊富なスタッフが在籍

スタッフは公認心理師や臨床心理士など心の専門家や有資格者が多いので、体調にあわせてアドバイスをしたり、相談者の状況にあわせて話を聞いたり、場合によっては必要な医療・行政サービスなどにスムーズにつなぐことができることが強みです。

心の悩みを抱える方の中には、自分の考えを述べたり、強く主張したりすることが苦手で、周囲にあわせてしまう方が多いのですが、ほっといい場所ひだまりに通ううちに徐々に自分の希望をうまく伝えられるようになる方がいます。そういう利用者の方の変化を実感できると、サポートしている側もうれしいですね。

また、月に1回オープンダイアローグを開催していて、テーマに沿って話しあったり、情報交換をしたりして、悩みや考えを分かちあう機会があります。利用者の方がその時気になること・話したいことについて、色々な視点からの対話となるよう心がけています。

家族からの相談も歓迎

当事者だけでなく家族へのサポートも提供しています。毎月1回「ひだまり家族の会」という家族会の集まりを開催しています。インターネットなどで知ったご家族が個別相談に来たり、家族経由でひきこもりの当事者がつながってきたりすることも多いです。

家族会で話しあう内容は年間でテーマを決めていて、毎回テーマに沿って始めますが、個々の家族で事情が異なるので、それぞれの希望も採り入れながら柔軟に対応しています。

お子さんがひきこもり、あるいは就労していない状況の場合、ご両親が自分の育て方を後悔していたり、葛藤を抱えていたりするケースもあります。まずはお話をうかがって、スタッフができる範囲でアドバイスもしながら、一緒に解決策を考えていくことを目指しています。

ひきこもり、VRで体験するコミュニケーショントレーニング

(写真はプログラムで使用するVR機器)

メンタルヘルスに不調を抱える方の家族からの相談で特に多いのが、本人とのコミュニケーションの取り方がわからない、という内容です。実際に練習することは難しく、またスタッフが本人の役割を演じてやりとりをするにも限界があるので、VR(バーチャルリアリティ)を活用したプログラムを実施しています。

このプログラムはひきこもり状態の方と同居している家族が対象で、3週間に1回、全9回の内容です。

家族内で実際にすれ違いが起こりやすい場面を想定したシナリオに沿って、VR上で相手の話に耳を傾けて気持ちを推測。実際に声をかけて自分の気持ちや考えを伝えるまでのやりとりを体験することができます。登場人物の目線でケーススタディを重ね、共感的な声かけや接し方を学んで頂けます。

VR視聴後には、参加者同士での意見交換の時間を設けており、本人の気持ちに寄り添いながら家庭内でのコミュニケーションを円滑にするヒントにして頂きたいです。

サポートを通じて今までより前向きに

サポートを実際に受けた利用者からは、自分の気持ちが前向きになったという声が多く寄せられています。

実際にひだまりを利用した20代の女性は「予定があるという安心感があります。週一回のアルバイトを始めたので、メンタルトレーニングとアルバイトを両立できるようにしたいです」

また、40代の男性利用者は「ひだまりに来て活動的になりました。集中力のアップにもつながると思います」

カウンセリングを受けたという20代の女性は「同じように悩んでいる人たちとワークをしたりおしゃべりしたりと、それぞれの問題に一緒に立ち向かう仲間のようなちょっとした安心感を持つことができました」

「必要ない」と言われることを目指して

私たちのサポートの理想は、利用者の方にとって「必要がなくなる」ことだと思っています。メンタルヘルスに不調を抱え、必要な時に利用してもらうためにあるのですが、私たちの支援が必要がなくなり、次のステップに進んでもらうことも大事だと思います。

ひだまりは毎週開催しているので、困ったときや必要なときはいつでも立ち寄ってもらいたいですし、もちろん必要なサポートを提供する準備はできています。

次に進んでもつながりを断ち切るのではなく、また必要になった時にはいつでも立ち寄れるような関係を築いていきたいと考えています。

まずは気軽に相談を

まずは深く考えず、気軽に相談してください。どんな相談でも責められることはありませんし、こうしなさい、ああしなさい、と指示をされることもありません。

一方で、暴力が絡むような危険なケースには行政機関などと連携してしっかりとサポートしていくので、安心して相談に来てください。

本当に苦しい渦中にいるときには、話をすることや考えることが苦しくなってしまうことがあると思います。焦る必要はないので、少し前向きになったり、思い立ったときに相談できる候補のひとつにほっといい場所ひだまりをリストアップしておいてください。

ほっといい場所ひだまり

https://www.hidamari.cns-net.or.jp/

NPO法人CNSネットワーク協議会

https://www.cns-net.or.jp/