サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2026.01.29

~病院でも自宅でもない「居場所」~がんの孤独と不安を和らげる
認定NPO法人 マギーズ東京

「友人のような医療者」ということを大事にしており、友人として耳を傾けることの中に話がひらいていくというイメージです。

周りでサポートしたり見守ったりしている中で、当事者のために何かできることはないか、という気持ちが大きくなって、それを探しに来る、という方は多くおられます。

「行ってみようかな」と思った時には、ぜひ足を運んでいただき、この場所に身をおいてみてくださいね。

認定NPO法人 マギーズ東京 キャンサーサポートスペシャリスト(看護師) 松原昌代さん

マギーズ東京はどんな場ですか?

がんを経験した方と、その家族や友人、職場の同僚や医療者など、がんに影響を受けるすべての人が気軽に訪れて、安心して過ごせる場です。

マギーズは1996年にイギリスで誕生した「マギーズキャンサーケアリングセンター」から始まりました。がん経験者をはじめとするがんに影響を受ける人たちが、病院の敷地の中で、看護師や心理士などの専門家のサポートを受けながら、悩みを相談したり、仲間たちと自分らしく過ごすための場所として設立されました。病院の中では病気や治療に重きが置かれますが、ここでは「友人のような医療者」ということを大事にしており、友人として耳を傾けることの中に話がひらいていくというイメージです。

この理念に共感したメンバーが集まり、2016年10月にマギーズ東京を開設しました。以来、1日あたり約20人前後の利用者を迎え、来訪者数は延べ約5万人になりました。

20~30代の若い世代の方には、団体のSNSからの情報発信をきっかけにマギーズ東京を知っていただき、実際に足を運んで下さる方が増えています。

若い世代の悩みについて

ライフステージの中で、学業、就職、家庭を持ったり持たなかったり、いろいろな選択肢が、もともと、とても多い年代かと思います。その中で、自分だけそこから外れてしまったという孤独感をお話しされる方が結構おられます。何が良い悪いではなく、その方にとってのご希望や、その方らしい人生に寄り添うような形でお話をさせていただけると、私たちとしても嬉しい時間になったと感じられます。

どのような過ごし方ができますか?

マギーズ東京は、がんに影響を受ける方であれば、どなたでも、予約不要かつ無料でご利用いただけます。利用時間の制限はないので、ゆっくり過ごしていただくこともできますし、近くに来たついでに気軽に立ち寄っていただくことも歓迎しています。

エントランスに受付はなく、来られた方の詳しい情報を集めるということもしていません。どのような過ごし方をしていただいても自由で、居合わせた方同士で話が盛り上がることも多いですし、一人でゆっくり過ごすこともできます。

原則平日の10~16時★にオープンしています。

リラックスした環境で悩みを相談

マギーズ東京には、看護師、保健師、心理士、管理栄養士など専門知識を持つスタッフが多数在籍しているので、悩みや心配事があれば気軽に専門家に相談ができます。
病気や治療に関することだけでなく、心や身体、生活のことなど何でもご相談ください。

魅力的で開放的な建築

木のぬくもりが感じられるガラス張りの開放的な建物も特徴です。ちょっとゆったりできたり、気持ちを緩めたりして自分の気持ちを大事に過ごせる要素があると思います。比較的人気があるのはソファ席です。横になれるスペースもあって、少し身体がダルいときに体を預けて休めるようになっています。イスもいろいろな種類がありますので、楽しんでいただけるかな、と思います。

静かな環境で過ごしたい方は奥のスペースを選んだり、逆に周囲の話し声や生活音がしているほうが落ちつくという方は、人が集まるテーブル席に座られたりなど、自由に居場所を選べる環境になっています。

多彩なプログラムで自分らしく

マギーズ東京では、実用的なものから普段の生活に採り入れられるものまで、色々なプログラムを開催しています。

比較的気軽に参加いただき、よい機会としていただけているのが、適度に身体を動かすプログラムです。例えば「からだのリラクセーション」や、ポールを持って屋外を歩く「ノルディックウォーキング」(全身運動になります。)、いろんな体力・体調の方が自分の状況に合わせて調整しながら参加いただけるものになっています。

がんに罹患した方の中には、身体を動かす機会が少なくなっている方もいます。身体を動かすことはリフレッシュにつながりますし、他の参加者の方とのコミュニケーションの場にもなっています。

あとは治療の副作用に伴うことで、メイクやウィッグ、頭皮のケア、スキンケアについてのプログラムも人気です。治療法によってむくみが出やすい方、リンパ浮腫の起きやすい方には専門のスタッフがお話をすることもあります。

自身の治療経験を生かして男性用ウィッグ開発の取り組みをしているという方が来られたこともありました。人数としては女性の方が多いですが、そういったところを知って来られる男性の方もいらっしゃいます。メイク指導は実際にがんを経験したサバイバーさんにお願いしていて、自らの体験も織り交ぜながら工夫できることなどを指導して下さっています。実際に指導を受けた方は、表情も声も明るくなって、一段と素敵なお姿でお帰りいただいています。

生活のことや親子で参加できる内容も

生活のことでは、食事についてのプログラムもあります。何ががんに良い、良くない、といったたくさんの情報が出回っている中で、自分にとって何を基準に判断したら良いか、管理栄養士と話をするプログラムもありますし、心のバランスを取っていくため心理士と話をするプログラムもあります。自分の力で取り組めるヒントとなるようなプログラムに皆さんご参加いただいています。

また、小さなお子さんがいる方には「花畑活動」もおすすめです。春と秋のシーズンごとに希望者を募り、月に1回程度集まって、種まきをしたり、雑草を抜いたりしながら、花畑を一緒に育てていく活動です。暖かい日差しや心地よい風を受けながら草花とふれあう時間は格別ですよ。参加者の皆さんと定期的にお会いして、お子さんの成長を一緒に喜び合える機会ですので、スタッフにとっても、とても楽しい時間ですね。

プログラムや活動にはそれぞれテーマはありますが、一緒に過ごす中で雑談をしたり、普段は話せない悩みを打ち明けたりする機会にもなるので、ぜひ気軽にご参加ください。自分に向いているプログラムがわからなければ、ご相談いただき、一緒に考えることもできますよ。

(写真は花畑の様子=マギーズ東京提供)

家族や友人の利用も歓迎

マギーズ東京は、がんに罹患したご本人だけでなく、家族・友人、がんについて感じていることがある方にもご利用いただいています。

周りでサポートしたり見守ったりしている中で、当事者のために何かできることはないか、という気持ちが大きくなって、それを探しに来る、という方は多くおられます。

家族や友人、同僚など、がん当事者をサポートする周囲の方々のための「家族や友人のための時間」というプログラムもあります。このプログラムには、罹患したご本人は参加しません。遠慮して言えないことだったり、傷つけてしまうかなと思って言えなかったりすることもあると思います。同じ立場の方同士だからこそ分かち合えるということもあるし、そういう考え方もあるのかと思えることもあります。

よく聞かれることに「どんな言葉(をかけるの)はNGですか?」という質問があります。その方を思うがゆえにわからないというお気持ちですね。決まった答えはなくて、それまでに紡いできた家族としての時間、あるいは友人としての時間の中に、その方たちが大事にしたいことや、どうするとお互いに安心できたり、お互いに愛情を感じられたりするのか、といった答えが入っているように感じています。自身のお気持ちを話される中で、ご自分で「こうしていこう」、ということを見つけられる方が多いです。

家族や友人達の悩みを受け止め、「自分らしく」をサポート

「何か自分にできることはないか」「何かをしてあげたい」という思いで来られる家族や友人、同僚の方々は、お話の中で「自分が普通に生活していることがとても申しわけなく感じる」と語られることが少なくありません。

一方で当事者の方からは「家族には自分の人生を大事にしてほしい」「楽しい時間をすごしてほしいと思っている」というお話や、「まわりの人に遠慮させてしまって申しわけない」というお気持ちをうかがうことがよくあります。お互いに、相手を思い合っているような状況です。そうしたお話をしていく中で、家族や友人が、自分の時間を大事にしたり、自分の人生を大事にしたりすることが、巡り巡っては、当事者の気持ちのサポートにつながるかもしれない、と気づいていかれる様子もみうけられます。

また、若い世代のがん経験者のお子さんは、まだ年齢が幼いこともありますので、何をどういうふうに伝えてあげるのがいいのかなと悩まれたり、お子さんが安心して過ごせるようにしていきたい、というご相談内容が多くあります。そこも、正解があるわけではないので、(お子さんの)発達段階に応じてだったり、そのご家族・親子の関係であったりとか、普段どんなお話をどのようにしているのかとか、そういったことをうかがいながら、一緒に考えていきます。

身近な人を亡くされた方のための「グリーフケア」

マギーズ東京は、がんで身近な方を亡くされた方のための場でもあります。個別でのお話もできますし、看護師や心理士が参加者と一緒に語らう「グリーフケアの集い」プログラムも定期的に催しています。

もともと当事者と一緒にマギーズ東京に来られていたご家族が、当事者が亡くなってからも来られるということもありますし、グリーフケアの場所を探して初めて来られる方もいます。

また、ご友人を亡くされた方、あるいは、会社で一緒に働いていた方を亡くされた方など、ご家族以外の方にもご利用いただいています。

マギーズがあることが安心に

マギーズ東京の利用者からは、安心感を得たという声が多く寄せられています。当事者として利用した女性は「いつもそこにマギーズがある。それだけで安心感に包まれる。ホッと一息でき、大きな不安を取り去ってくれる場所です」と伝えてくれました。

また、家族の立場で利用した男性は「がんのことだけでなく、どんな話をしても大丈夫だと思える場所。困ったときに思い浮かぶ、安心できる場所です。これからも利用したい」と話してくれました。

「行ってみようかな」をきっかけに

マギーズ東京は、病気・治療のこと、生活のこと、仕事や学業・進路のこと、家族との関係など、どんなことでも相談できる場です。看護師や心理士がいるので、必要なときには専門的な情報提供もできますよ。

相談の場に行こうと思うと、相談内容や悩み事を明確にして相手にうまく伝える必要があるんじゃないか、と思ってしまって、無意識にハードルを上げてしまっていることがあるのではないかと思います。

マギーズ東京は、相談があってもなくても、話したいことがあってもなくても利用できる居場所です。このことは、ちょっと話すの違うかな、ということは全く思わずに、どんなことでも大丈夫です。様々なプログラムもありますので、これはどうかなと思うものがあったら、一緒に身体を動かしたり、お話をしたり、いろいろなことができたら嬉しく思います。

お時間ができて「行ってみようかな」と思った時には、ぜひ足を運んでいただき、この場所に身をおいてみてくださいね。

★江東区や品川区の委託事業として、毎月第1金曜日と第3金曜日の18~20時に、がんの夜間相談窓口「ナイトマギーズ」(https://maggiestokyo.org/news/4634.html)も実施しています。がんの方やそのご家族、ご友人などのお話をうかがっています。

マギーズ東京

https://maggiestokyo.org/

ナイトマギーズ(がんの夜間相談窓口委託事業)のお知らせ

https://maggiestokyo.org/news/4634.html