サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2025.06.24

~リカバっていこう。~
公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会

ギャンブル依存症の人が立ち直るための支援の場があることをより多くの人に知ってもらう必要がある、と思ったことから団体の設立に至りました。

我々が第三者の立場から客観的に助言していくことで、当事者とその家族が同じ方向を目指して進んでもらうことを目指しています。

ひとことで言うと「あなたの経験、我々もしています」。だから、恥ずかしがったり、遠慮したりする必要はまったくありません。

公益社団法人 ギャンブル依存症問題を考える会 代表 田中 紀子さん

ギャンブル依存症問題を考える会はどんな団体?

団体を設立したのは、2014年2月。当時、カジノ設置の推進法案が国会に提出され、まさにカジノを日本で解禁しようという機運が高まったタイミングでした。

当時、厚生労働省研究班の調査で、ギャンブル依存症の疑いのある人は推計約536万人と報道されました。これは成人のおよそ20人に1人にあたる数で、自分たちと同じように苦しむ仲間がこんなに多いのか、と驚きました。我々は自助グループとして活動していたのですが、ギャンブル依存症の人が立ち直るための支援の場があることをより多くの人に知ってもらう必要がある、と思ったことから団体の設立に至りました。

当初は30人くらいのメンバーでスタートしました。それぞれ事情があるので私が表に出て、顔出しが難しい方には裏方として支えてもらいながら少しずつ活動の輪を広げていきました。

若い年代で増加するギャンブル依存症

ギャンブル依存症は世界保健機関(WHO)によって脳の疾病と認定されています。ただ、薬を服用すれば治るというものではないので、当事者にあわせた解決策とそのためのサポートが重要です。

活動を始めた当初、相談者は30~40代の男性が多かったです。当時はパチンコやパチスロなどの遊技をきっかけにして借金を重ね、のめり込んでしまう方が多かったのですが、いまは状況が全く変わっています。

20代からの相談がとても多く、10代からの相談も増えていてギャンブル依存症の低年齢化を感じています。コロナ禍で外出やリアルで人と会うことが難しい期間があり、あわせてインターネットでギャンブル関連の情報発信が増えたことで、若い人を中心にオンラインギャンブルが急速に普及しました。

インターネットを閲覧していると、さまざまなギャンブルの広告が流れてきます。さらに、クレジットカード決済や携帯電話のキャリア決済を通じて、手元にお金がなくてもギャンブルができてしまう、という状況になり、ギャンブルに対するハードルが低くなって短い期間でギャンブル依存症になる方が増えていると感じます。

相談は電話やセミナーから、家族の相談も歓迎

電話での相談と、事務所などで開催している相談会での相談が多いですね。全国各地で講演会やセミナーなども開いています。ホームページに詳しい情報を掲載しているのでぜひ検索してみて下さい。

ギャンブル依存症は本人が自覚していない場合や、「意志の(弱さの)問題」と思ってしまっているケースが多いことが特徴です。身近な家族の向き合い方が重要になりますので、当事者だけでなく、家族の方にも気軽に相談して頂きたいです。

また、オンライン対応も進めています。直接相談することに抵抗感がある方もいるので、オンラインでミーティングを実施することも増えています。

(写真は東京家族相談会の会場)

団体のサポート体制は?

団体には約1,700人のメンバーがいて、うちおよそ200人がギャンブル依存症の経験者、残りがその家族のメンバーです。ギャンブル依存症の経験者もしくはその家族が相談スタッフとして活動していることが特徴です。

ギャンブル依存者の家族から相談を受ける場合が多いので、まず、家族会のメンバーが担当スタッフとして、ギャンブル依存症についての情報や、当事者との接し方をアドバイスします。大切なことは家族がお金の肩代わりをしないことです。当事者からの暴力の危険がある場合には行政と連携して避難場所を探すこともありますし、当事者に自傷行為の恐れがある場合には警察と連携して防ぐことになります。個々のケースで状況が異なるので、対応も様々です。

当事者からの相談は、当事者経験のあるメンバーが担当します。相談者の気持ちや状況を容易に理解できますし、自分の体験や立ち直ったきっかけなどを話すこともできます。当事者は怒られる、と思っていることが多いですけれど、相談を受けるスタッフもギャンブル依存症の経験者なので、怒ることはほぼありません。当事者にとっては、安心して話をしやすいと思いますよ。

相談を受けたスタッフ同士が連携をとりながら、当事者とその家族の生活再建の支援をしていく、というのが基本的な流れです。ギャンブル依存症は家族内で抱え込んでしまうことも多く、家族内では解決が難しい場合も多いのですが、我々が第三者の立場から客観的に助言していくことで、当事者とその家族が同じ方向を目指して進んでもらうことを目指しています。

(写真は団体事務局の様子)

サポートを通じて自分たちも回復

団体のメンバーはみんな喜んでサポートに協力してくれます。やはり、自分が社会や誰かの役に立ちたいという思いは誰もが持っていて、それが叶うことは喜びだと思うんです。

ギャンブルにのめり込んでいた過去は、自分にとってもつらいことなんです。人をだましたり、悲しませたりしながらギャンブルにのめり込んでしまった自分のことを嫌いになって自暴自棄になっていた。そういう最悪の経験が価値を持つのが、我々の活動なんです。

家族についても基本的に同じです。ギャンブル依存症の当事者を何とかして救いたい、という思いが強すぎて視野が狭くなっているんです。共依存のような関係ですね。だから家族会のほかのメンバーと接することで、同じように苦しんでいる家族の存在を知り、見える世界が広がっていくことで、事態を改善する一歩につながります。

そして我々スタッフも、困っている人の力になることで一緒に回復していく、そういう活動なんですね。

啓発・連携にも注力

全国でセミナーや講演会を開催しているので、多くの方に足を運んでもらえるよう、各地の支援者と連携して呼びかけを行っています。会場に来てもらえれば、そのまま相談を受けたり、アドバイスしたりできるので、スムーズな支援につながります。

最近のギャンブル依存症はオンラインとの親和性が非常に高いので、オンラインでメッセージを届ける努力もしています。団体でYoutubeチャンネルを開設して、特に若い方へのアプローチに取り組んでいます。若い方が見たくなるのはどんな動画かな、と日々試行錯誤していますよ。

5月の「ギャンブル等依存症問題啓発週間」には、東京都と連携して啓発活動も行いました。ギャンブル依存症の両親の子どもたちが不登校になってしまうケースも多いので、不登校問題に詳しい専門家や団体と連携したり、仕事を失った方や生活再建を目指す家族のため、就労支援機関と協力することもあります。

ここまでやってくれるのか

会社の同僚から借金をして職場でトラブルになった相談者のケースでは、私が直接職場の方々に対してギャンブル依存症について説明をして理解を求めたこともあります。

また、ギャンブルによって家や仕事を失った人たちについては、行政の福祉関係の窓口の手続きをサポートするほか、生活保護を受けるまでの間に必要な資金を一時的に支援することもありますね。

団体で支援した相談者の方からは「ここまでやってくれるのか」と驚かれることがよくありますよ。

あなたの経験、我々もしています

ギャンブル依存症は回復できる病気です。どんな病気も早めに治療を始めた方が治りやすいですよね。それは、ギャンブル依存症も同じです。家族内で解決しようとせず、なるべく初期のうちに相談して下さい。

我々は行政の支援機関ではなく、あくまでも民間のピアサポート団体です。ひとことで言うと「あなたの経験、我々もしています」。だから、恥ずかしがったり、遠慮したりする必要はまったくありません。

相談会の日程をホームページに掲載しているので、都合の良い日時をお知らせ下さい。これまで団体を知らなかった方でも遠慮せずに相談してくださいね。

ギャンブル依存症問題を考える会

https://www.scga.jp/