サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2025.02.26

~誰もが心の支え手になれる~
特定非営利活動法人Light Ring.

支え手さんは専門家ではないので その役割を担う必要性はないと思います

「支え手を支える」ために社会全体で取り組む必要性があると思います

友だちや家族の悩みを受け止めている方々に、決してひとりで抱え込まなくても良いことなんだ、と知ってほしいです。自分が辛い場合に大人に頼ることは、決して悪いことではありません。それが、本人をサポートする大切な一歩になるからです

特定非営利活動法人Light Ring. 代表理事 石井 綾華 さん

Light Ring.って?

『誰もが自分の望む幸せを掴むことのできる社会』の創出を掲げ、”そばに居る大切な人を支えたい方”に必要な支援をすることを通し、『ご自身と大切な方がこころの健康を保ち続け、各々の望む幸せを掴むことのできる未来』を目指す団体です。

私自身、小学生の頃から家族が精神疾患で苦しむ姿を見てきました。その経験から元々はカウンセラーになりたいと思っていました。直接、支援をしたいと思っていたんです。ですが、生涯自分が支援できる人数には限界があるということに気がつきました。それならと、自分が直面した現実から、心の病を予防する仕組みが作れないかと考えました。しかし、現状の社会保障や医療制度の仕組みの中では限界があり、それならばセルフケアや身近な人の心のケアに貢献できるような社会的な仕組みを作れないかと、特定非営利活動法人を立ち上げました。

私たちが最初に取り組んだのは、「聴くトモカフェ」というカフェでお話を聴く活動です。その席に参加してくれた方々の約80%が身近な人を支えたいという支え手でした。お話を聞くと、「そんな人からは離れてしまいなよ」ということを言われてしまって誰にも相談できない、友だちの方がつらいのにこんな話言っていいのかな、と悩んでいる方が多く、支え手自身も同様に悩みを抱えているという現実に気づかされました。

だからこそ、私たちは支え手をサポートする重要性に気がついて、その方々のための支援を行おうとこの取り組みを始めております。

若者支え手って?

ゲートキーパーは自殺対策の分野で広く使われている言葉で、希死念慮者を支える人のことを指します。ゲートキーパーは自殺対策に必要な存在であり、希死念慮者の孤独・孤立の防止にも関係します。一方で、若者支え手とは、身近な友人や恋人や家族を支える全ての方々を指し、より広い予防のための取り組みとして考えています。少しだけ悩んでいる、今疲れてしまった、そういった日常生活の悩みを受け止める方々を広く「支え手」と呼んでいます。

どんな支援の取り組みがあるの?

知らず知らずのうちに大切な人の悩みを受け止めている子どもや若者を支えるために、多様なプログラムを提供しています。

(参考)→オープンチャット

オープンチャットは24時間365日、支える悩みを抱える子どもや若者の相談窓口です。場所を問わず、匿名で相談可能な点が特徴です。

サポートできる流れとしては大きく2つあります。
1つは、支え手さんが孤立しているパターンが多いので、同じような境遇の方々で支えていることに対してねぎらい合う場をお届けしています。「ひとりじゃないよ」とか、その話を聞くことに対して、「大変だよね。でも大事に支えていこうね」と、同じ気持ちを持っている想いを届けていくピアサポートの場を持っております。

もう1つは、実際に具体的な支援窓口につなぐということです。実際に悩んでいる子が、直接出向くのは難しいことが多いため、すでに気持ちが繋がっている(支え手や)ゲートキーパーの子が相談窓口を使ってみたらと薦めることで、実際に使えるようになったという声があります。

このようにオープンチャットは、同じような境遇の人とつながることのできる場となっており、共感したり、励ましあったり、心の奥にしまい込んだ気持ちを吐き出せるコミュニティとなっています。

【聴くトモカフェ】

同世代の若者が思春期・青年期のメンタルヘルスや傾聴支援技術、専門機関への連携方法等を学び、認定試験に合格した「聴くトモ」が、不安や悩みを聴いてもらいたい、身近な人からの悩み相談の対応に困っているあなたのお話に60分1対1で耳を傾けます。

相談者の方からは、身近な人には話しづらく専門的な相談をするほどではないけれど、誰かに話を聴いてほしいという声が寄せられることが多く、そんな方々が気軽に気持ちを打ち明けられる場となっています。

(参考)→https://lightring.or.jp/events/kikutomo_program/

ソーシャルサポート力養成講座/Light Ring Time

ソーシャルサポート力養成講座は、身近な友人や恋人、家族を支える知識が欲しいと考える方を対象にした4部構成のプログラムです。1つ目は身近な人を支えるためのセルフケア、2つ目が適切な距離感の保ち方、3つ目が傾聴力、4つ目が専門機関に繋ぐ力を学んでいきます。

修了後には参加者同士が支え手の悩みを共有して、セルフケアを実践する「Light Ring Time」に参加できます。同じ境遇の方々と出会い、支え手の不安を共有することで、心の負担を軽くする場となっています。

(参考)→ソーシャルサポート力養成講座

(参考)→Light Ring Time

聴くトモ養成講座

自身の経験を活かし、「支え手」をサポートしたいという方向けの養成講座です。様々な専門家から、精神医学や臨床心理学の知識および実践スキルを学ぶ、計10日間のプログラムです。

(参考)→聴くトモ養成講座

どうして色々な支援をしているの?

元々、心の病の予防のために貢献できることがないかという思いで始めましたが、社会課題に目を向けた時に、日本では子どもや若者の自殺が大きな社会課題だと気づき、ゲートキーパーに着目をして、身近な人でもできる自殺対策に取り組んできました。一方で、NPO設立10年の節目に、もう一度自分たちが本当に取り組みたいことは何なのかと改めて考えた時に、やっぱり予防が重要ではないかと思ったのです。そのためには、支え手にもう一度目を向けようということで、ゲートキーパーも大切にしつつ、より広く支え手さんをサポートする仕組みを改めて考え、オンラインでの取り組みを広げていきました。

オンラインプログラムが広がったことで、地理的制約を超えて繋がれるようになったことは本当に大きな変化だと思っています。匿名であることも、顔を出さずに参加できる安心感から、より多くの方々が気軽に参加できるようになりました。支え合いの輪が広がっていることを実感しており、この繋がりこそが支え手さんの心の安定基盤に繋がっていくと実感しています。

若者支え手が抱える悩みって?

悩みを受け止める子どもや若者など、支え手の方々が抱える課題は大きく分けて5つに分類されます。

1つ目が無力感です。支えたい気持ちはあるけれど、自分では何もできないと感じることや、一生懸命サポートしているのに相手が少しも良くなってくれない、と言ったように、自分の力不足を責めてしまうということがあります。

2つ目が孤独感です。誰かに相談したいけれど、誰にも言わないでと言われているので、相談ができない、同じ立場の人が見つからないので孤独を感じる、など支えること自体が孤立を招いてしまうことがあります。

3つ目が不安や戸惑いです。近い関係ではなく、少し距離の離れた友だちから相談された時に、自分が話を聞いていいのかなと戸惑ってしまうことがある方もいます。または、身近な友だちや家族が悩みを打ち明けてくれたけれど、どう反応すれば良いのか分からない、対応に困ってしまう瞬間があるなど、不安や戸惑いといった本音を抱えながら支える方も少なくないのが実態です。

4つ目に精神的な疲労です。夜中まで話を聞いて、終わりが見えないという気持ちだったり、相手のために動いているうちに、自分自身が疲れてしまった、というような精神的な負担が積み重なって、心が疲弊してしまうというケースもあります。

そして、5つ目が答えが見えない恐れです。自分のこの反応が本当に正しかったのだろうか、専門的な支援やサポートの仕方を知りたい、繋いだけれど上手くいかない、といった悩みを抱える支え手さんが多くいらっしゃるということを実感しています。

悩んでいる人を支える上で大切なこと

大切なことは2つあると思っています。1つは、その子の問題を代わりに解決してあげようとしないということ。もう1つは、その子の側に居続けるということ。この2つのポイントがとても大切なことだと思っています。

あくまでも支え手さんは専門家ではないので、その役割を代わりにする必要性はないと思っています。一方で、どんな状態でも友だちでいるよ、どんな変化があってもそばにいるよと伝えられることや、悩んでいる子を一人にさせない存在である、それこそが支え手さんにとって本当に大切なことではないかと思っています。

若者支え手支援のこれから

私たちLight Ring.は、この14年間活動を続ける中で、悩みを受け止める子どもや若者が全国に非常に多く存在するという現実に直面してきました。ただ一方で、専門家や支援機関の多くは本人への支援が中心であり、身近な友人や恋人が悩みを受け止めているということの認知がされていないという課題を実感しています。「支え手を支える」ために社会全体で取り組む必要性があると思っています。

そのために、我々が伝えたいことは3つあります。
1つ目は、特に子どもや若者たちが悩みを受け止めていること、身近な人の悩みに気づいてもどうしていいか分からない、といった課題を抱えていること自体が、社会的に認知されてほしいと思っています。

2つ目は、支え手や相談機関、専門家がその悩みにどう対応すべきかを理解し、援助技術を高めていく必要があると思っています。実際に専門家に繋いでも帰ってきてしまう子どもたちが少なくありません。だからこそ、担い手を広げるためにも社会全体が、この課題を意識して支え手が孤立しないこと、悩む子どもや若者が気軽に支えを求められる、専門家にも手を差し伸べていいんだと思えるような、そんな環境を整えることが求められています。

3つ目は、支え手の役割は自殺対策のゲートキーパーに限らないということです。この枠を越えて、母子保健や学校教育、地域社会などさまざまな分野に広がっています。これらの取り組みの中に、支え手をひとりにさせない支援の仕組みも盛り込んでいけるとより良いのではと思っています。

支え手が孤立しないような支援体制を社会全体で築くこと、そのことがより多くの子どもや若者を早期にサポートする、その力になるはずです。

悩んでいる若者支え手に伝えたいこと

友だちや家族の悩みを受け止めている方々には、そのこと自体は決してひとりで抱え込まなくても良いことなんだ、ということを知ってもらえたら嬉しいです。たとえ、友だちに「誰にも相談しないでね」「言わないでね」と言われたとしても、自分自身が辛くなった時に大人に頼ることは、決して悪いことではないと思うんです。それが、本人をサポートする大切な一歩になるからです。

だからこそ、本人をサポートするために大人に頼りつつ、また自分もセルフケアを学びつつ、友だちのそばにいるということを大切にしてほしいなと思っています。もし私たちに頼ってもらえたら、サポートの方法を一緒に考えたり、あるいは、悩んでいる本人をサポートするために必要な情報や支援を提供していきたいと思っています。決してひとりだけで支えるものではないと皆さんにお伝えしたいです。

動画を見ているあなたへ

LINEやInstagramなどのSNSを使うなかで、もしかしたらあの子は悩んでいるんじゃないか、あの時どうしたらよかったのか、と悩んだり頭に浮かんだことはありませんか?もし、そんなことが頭に浮かんだら、あなたは大切な人の変化に気づく力を持っている証拠です。悩んでいる人がいるかもしれないと気づいたら、それはひとりで抱え込まなくて大丈夫です。

Light Ring.のオープンチャットで、私たちにぜひその声を聞かせてください。あなたのタイミングで大丈夫です。私たちは、あなたを支えるためにここにいます。サポートの方法を一緒に考えたり、気軽に話したりできる場を持っています。

身近な人がいつもと違うな、でもどうしていいか分からないな。そんな気持ちを持ったとき、そんなあなたを私たちは全力でサポートしたいと思っています。

特定非営利活動法人LightRing.の「サポート」を利用した方の声

「一人で悩んで辛かった時にオープンチャットで皆さんが親身になって相談にのってくださり、温かい言葉をかけてくれて、とても助かりました。おかげで、最近は心穏やかに生活することができています。」

「支え手自身にもセルフケアをして、リフレッシュすることが重要であるということは、自分に無かった観点でした。」

「 自分ひとり、自己流で支えをしていた実感があったので、自分がやっていることが正しかったのか不安でした。労ってくれたり共感してくれる人がいて、素直に嬉しかったです。」

LightRing.のピアサポートスタッフから

LightRing.のピアサポートスタッフは、あなたの心が少しでも軽くなるよう寄り添います。

大切な人の悩みに気づいたとき、助けを求められたとき、「どうしたらいいのかわからない」「うまくいかなくて不安」そんな気持ちになることもありますよね。

そんな時は、一人で抱え込まず、ぜひ私たちに声を聞かせてください。
一緒に悩み、考え、対応する方法を見つけていきましょう!

特定非営利活動法人Light Ring.HP

https://lightring.or.jp/