サポート紹介&利用者の声

SUPPORT 2026.05.29

~「どうしよう」と思ったら、相談していい。~
杉並区 くらしのサポートステーション~生活自立支援窓口

杉並・くらしのサポートステーションが“話を聞く”理由

「生活がしんどい」「お金が不安」「でも誰に何を言えばいいか分からない」。そんなとき、相談するのは勇気がいります。杉並区の相談窓口「くらしのサポートステーション」では、若い世代からの相談が増えているといいます。

はじめに

くらしのサポートステーションは、生活に困りごとを抱える人の相談窓口です(生活困窮者自立支援制度にもとづく相談窓口)。
主な事業は「自立相談支援事業」「家計改善支援事業」「住居確保給付金」。
今回は、杉並区社会福祉協議会が受託しているこの窓口で、日々相談を受けている阿部さんと平さんにお話を伺いました。

▲阿部さん

▲平さん

若者から増えている相談

【「生活する」が分からないまま一人暮らしが始まる】
阿部さん:
ご相談いただく若者の中には「生活する」ということが分からないまま出てきてしまっている方が多いと思います。いろいろな理由があるとは思うのですが、一人での生活を頑張っている中で、生活が立ち行かなくなった若い方からの相談は、最近増えてきているような気がします。


【阿佐ヶ谷・高円寺に憧れて上京、家賃10万円が払えると思ってしまう】
平さん:
相談者の中には地方から上京されてきた方もいます。
阿佐ヶ谷や高円寺などは、知名度が高い街です。時給も、給与も高いので、10万円の家賃でも払えると思えてしまいますが、1か月、2か月と生活していくうちに困ってしまい、相談につながります。

阿部さん:
東京に来たら仕事があると思い、仕事を決めないまま上京してしまう方もいらっしゃいます。


【孤立、裏切り、そして「一歩が出ない」状態】
阿部さん:
「生活する」ためには、家賃、ライフライン、携帯等の固定費に加え、食事や衣類、さらにティッシュペーパー等の生活雑貨にもお金がかかります。若い方の相談では、実家暮らしのうちにその感覚が養えず、お金のやりくりに困難を感じる方も少なくありません。
自分がやりたいことはある中で、お金を何にどう使っていけばいいのか整理がつかないことから、負債が増えさらに生活が苦しくなった末に相談に来られることもあります。
上京したばかりでは、親元を離れてきていて、相談する友達も近くにいないという環境もあり、人間関係の構築も難しく感じます。相談していた先輩から裏切られて家がなくなってしまった、という相談もありました。
18歳までは児童相談所をはじめとする、子どもに関する支援がありますが、20歳を超えると支援できる制度がなくなってきます。
その間に、だまされてしまったり、心に傷を負ってくる方も多い気がします。
社会のことを、少し後ろ向きに見るような相談者が多いかなと思っています。そういう状態にあると、最初の一歩が出せないですよね。
そのため、私たちは、「あなたの話を待っている大人がここにはいるんだよ」と伝えたいと考えていますし、実際に相談していただく方にはいろいろな形で表現しています。もしあなたが違うところに引っ越したとしても、その先にもこういう人たちはいるんだよ、ということを伝えられるように、くらしのサポートステーションのみんなで話をしながら対応しています。


【「お金を出す窓口」ではなく、一緒に整理して組み立てる】
阿部さん:
若いからというだけではなく、相談に来られる方は、それまで頑張って生きてきている方たちです。私たちにつながろうと思って相談に来られる力がある方なので、どこかにつなぐというよりは、その方の力をどうやって引き出していけるかという視点で接しています。「『お金が足りない』と思っているかもしれないけれど、あなたの今の収入だとこれぐらいのことができるんだよ」という見直しもしています。
もし、仕事をしていないのだとしたら、どれぐらいできるのかを一緒に考えます。日払いの仕事をはじめ、今はいろいろな仕事がありますよね。そういうものも活用し、どうやってあなたの生活をあなたなりに組み立てていくかを、一緒に考えます。

平さん:
目の前のことに追われてしまう方も多いので、当面の生活をなんとかしながら、その先の「どうしていきたいか」も一緒に考えられるといいと思っています。


【本当に厳しいときは、生活保護や他機関への同行も選択肢になる】
阿部さん:
生活保護は嫌だと、涙ながらにおっしゃられる方もいます。
でも精神的に不安定な方の中には、仕事をしようと言える状態にない方もいらっしゃるので、私たちの窓口から生活保護を相談することもあります。
「あなたのことを放ってはおけません」って思うので。
福祉事務所に一人で相談に行くのが怖いという方も多いので、「最初の一歩が怖いんだったら、一緒に踏み出してみようか」という形で同行支援もしています。

平さん:
債務整理や、税金の支払い相談なども、一緒に行こうとお声かけすることもあります。

阿部さん:
自分でできそうなのに「ついてきて」という方がいたら、「あなたは自分でできるよ」と促すのですが、若い方や表現することが難しい方など、何を言えばいいのか分からない、ということも多いです。
そういうときは、窓口でまず話をまとめて、それでも伝えることが難しいのであれば一緒に行って、話せないところは本人に代わって話をします。ご自身でも話ができるようにサポートすることも心がけています。

相談の方法は色々。まず“入りやすい方法”からで大丈夫

阿部さん:
若い方は、メールでの相談も多いです。
「私は人と話すのが苦手なのでメールしかできません」というような相談もあります。
何度かメールでのやり取りの後、「電話番号を教えてください」と聞くと教えてくれて、電話すると出てくれる、ということもあります。自分からはかけられないけれど、折り返しなら出られるということもあります。

平さん:
若い方は、電話をかける習慣がないですよね。

阿部さん:
なので、まず一番自分たちが入りやすい方法で相談していただければと思っています。


【電話は“入口”、面談で一緒に整理する】
阿部さん:
電話で全てを聞くことはしていないです。
まずは、どんなお困りごとなのかをお聞きしながら、面談につなげていくというイメージです。
電話で長く話してしまうと、相談者も疲れてしまいますからね。
顔も見ない、誰かも分からない人にたくさん話して、面談のときに同じ話をまた話す、というのは相談者にご負担だと思います。ある程度聞けたら、「ここから先は面談でもう少し詳しくお話を聞きますね」と案内しています。


【予約と飛び込み対応(その日のうちに、できるだけ)】
平さん:
実は「予約制だけ」にしていなくて、飛び込みでの相談も対応しています。予約の方が優先のため、少し待っていただくこともあります。それは申し訳ないのですが、相談者にとっては「今日が相談の時」って思って来てくださっていますので、飛び込みで来られた方も、基本的にはその日のうちに対応するようにしています。

阿部さん:
もし、その日にまとまった時間が取れないときでも、「少しだけお話して、また明日来てみようか」というように、つないでいく形で対応しています。最近は飛び込みでの相談も本当に多いです。

平さん:
やはり、相談の敷居は高いのだと思います。明日と言うと来れないこともあるし、予約すると「時間通りに行かなきゃ」って緊張してしまう方もいますよね。

阿部さん:
そういう方も、やっぱり中にはいますね。予約優先のため、「飛び込みで来ていいですよ」と積極的に言うわけではないのですが、飛び込みの相談もできる限り受けさせていただいています。

「困る前に相談してほしい」

阿部さん:
「相談は、もう限界になってから行く場所」と思われがちです。
でも、切羽詰まる前、まだ「このままだとまずいかも」と感じる段階のほうが、できることが多いのでそういう段階で相談いただきたいです。早めの相談がすごく大事なので、困る前に相談してほしいとご案内しています。
このインタビューでも経済的なお話が多いですが、それこそひきこもり状態の方からの相談も、本来であれば早いタイミングのほうが良いです。社会との距離はすぐ離れてしまいます。そこの期間が短ければ短いほど、自立に向かって活動していけるまでの期間も短くはなると思います。
そのため、どのような相談であったとしても、早く相談に来ていただけると、その分次の一歩が出やすくなると思います。

平さん:
選択肢が、どうしても切羽詰まった状態だと減ってしまいますよね。やはり相談していて、できるだけその選択肢を増やしていくっていうのが私たちの相談だと思うので、できるだけ早めに相談していただきたいですね。

相談のタイミングは『どうしよう』と思ったら

阿部さん:
私は「どうしよう」と思ったら相談してほしいと思います。何でもいいです。お金のこと、仕事のこと、生活しているとどうしようって思うことはあると思うんです。「どうすればいいかなって思ったら、一旦話す」ぐらい気楽に相談いただけたらと思います。お話をうかがって状況を整理し、あなた自身の力で対応していく方法を一緒に考えていきます。相談者が自分自身の力で自分らしく生活していくことが支援の目標であり、基盤になってくると考えています。どうしようって思ったら相談に来てほしいです。

「いるから、ずっとここはあるから」

阿部さん:
切羽詰まって相談に来られている方の場合、仕事に就いて卒業されていく方も多くいます。卒業されていく方には、「仕事は辞めてもいい。辞めてもいいのだけど、辞める前に相談に来て」と伝えています。
仕事に不安がある、人付き合いが苦手など、これからの生活に不安を抱えている方でも、卒業したらそのまま去っていきそうな雰囲気の方もいます。「私たちはいるから、ずっとここはあるから」といつでも、何かあった時には相談してほしいということを伝えています。


【家族、友人、職場からの相談でも構わない】
阿部さん:
ひきこもりの方の場合は家族からの相談からスタートということも多いです。
同居ではない親戚の方から、「遠方に住んでいるが、甥がひきこもりのようだ。どうすればいいですか」という電話もあります。

平さん:
同僚が、ちょっと心配になってなど、職場の方からの相談もありますね。

阿部さん:
上司の方から、「部下が、お金の管理が難しいみたいで心配」という相談もありました。
周囲の方の見守りや声かけなどがあり、本人を私たちにつなげてくださることはありがたいことだと思っています。

最後に:相談を迷うあなたへ

阿部さん:
困っていることがあれば、相談してほしいですね。必ずしもここでなくてもいいんです。周りの方でもいいですし、一番相談しやすいところでいいので。

平さん:
「困ったよ」って言っていいと思います。その一言を、誰かに伝えてほしいです。
ちょっと勇気がいるとは思うのですが、どのような形でもいいので、小さくでも発信してもらえたらと思います。

阿部さん:
私たちがその声を拾っていきます。小さくても発信していただけるといいなと思います。

杉並区 くらしのサポートステーション~生活自立支援窓口~ HP

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