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SUPPORT 2026.08.25

~「相談する」を押せないとき、まずは“かくれて”いい~
NPO法人ライフリンク

「かくれてしまえばいいのです」は、生きることがしんどいと感じたときに、匿名・無料で、24時間いつでも利用できるWeb空間です。

(参考)→https://kakurega.lifelink.or.jp/

今回は、NPO法人ライフリンクで相談支援事業などを担当する根岸さんと、「かくれてしまえばいいのです」の運営広報を担当する「かくれが広報」さんに、お話をうかがいました。

▲根岸さん

▲かくれが広報さん

かくれがはどうしてできた?

かくれが広報さん:
ライフリンクはSNS、電話、メールの相談窓口を運営していますが、窓口にまでつながれない方たちや相談に抵抗がある方たちもいます。そこで、相談にはつながれなくても、しんどい気持ちを落ち着かせたり、やり過ごせたり、向き合えたりするような空間ができないかと絵本作家のヨシタケシンスケさんに相談し、ご協力をいただいて作りました。

◆ヨシタケシンスケさん
 絵本作家、イラストレーター
 1973年 神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。
 日常の一コマを切り取ったスケッチ集や、装画、挿絵など、幅広く活動している。
 MOE絵本屋さん大賞、ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞、ニューヨーク・タイムズ最優秀絵本賞など、受賞多数。


根岸さん:
相談につながっている方でも、『負担をかけてしまって申し訳ない』とか、『ほかの人と比べると、私の状況なんて』といった、ためらいの声がたくさんあります。
そんな方たちに使ってもらえるよう、相談とは異なる選択肢として、「死にたい」「きえたい」といった気持ちがありながらも安心して過ごせる居場所となることをめざして作った、ということですね。

“この世”でも“あの世”でもなく、“その世”へ

かくれが広報さん:
「かくれてしまえばいいのです(以降、「かくれが」)という名前は、ヨシタケシンスケさんのご提案です。
この世で生きるのがつらくなった時に、あの世にいくのではなく、この世でもあの世でもない“その世”を作って、そこにかくれてしまえばいいのではないか。そうしたコンセプトで、ヨシタケシンスケさんが「かくれてしまえばいいのです」という名前をつけてくれました。
しんどい気持ちがあっても「相談する」というボタンを押せないとき、まずは少しだけかくれてみる。
「かくれが」は、そんな時に使えるWeb空間です。

かくれがの中でできること

かくれが広報さん:
「かくれが」に入ると、「むかんけいばあちゃん」が案内してくれます。
『どんな感じ?』と聞かれ、しんどくない時は『よかったね』と言われて、元の世界に戻ります。
理由があってもなくても、しんどい気持ちの時は、
『この中にすぐかくれてちょうだい』と言われ、
一緒にゴンドラに乗って「かくれが」の中に連れて行ってもらえます。

「かくれが」の中には、「しにたいきもちとむきあうエリア」と、「しにたいきもちをやりすごすエリア」があります。
「しにたいきもちとむきあうエリア」には、「こっそりハッキリ発表ルーム」だったり、
「そうだんセンター」などがあります。
「こっそりハッキリ発表ルーム」は、今の気持ちを書くことができる部屋です。
書いたあとに他のみんなが見えるように「ここ(壁)に貼る」という選択肢もありますが、
もうひとつの選択肢の『食べさせる』を選ぶと、奥の大きい怪物がしんどい気持ちを食べてくれます。
紙に書いてぐしゃぐしゃにして捨てると、それだけでもちょっと気持ちが落ち着くことがある人もいるかと思いますが、かくれがでは怪物に食べさせることができます。

下のエリアが、「しにたいきもちをやりすごすエリア」です。
「ゲーム自習室」は、簡単なゲームを用意していますが、やってみると思わず熱中してしまうので、楽しむことでしんどい気持ちから意識をそらすことができます。
「あなたのオススメおしえてルーム」では、つらい時のやり過ごし方や、おすすめの音楽、小説などを見ることができます。
みんなが書いてくれたオススメを見ることができたり、自分が書いたものを『つらいときはこんなことしていたな』と思い出せるので、自分を見つめ直すこともできます。

誰かがいる安心感

かくれが広報さん:
「かくれが」の中では、他の人が同じ空間にいて、移動している様子が見えます。
ただし、会話をしたり、直接やりとりをしたりすることはできません。
「かくれが」のなかでやりとりができてしまうと、せっかくこの世からかくれに来たのに、この世で起きたつらいことが「かくれが」でも起きてしまいかねません。利用者の方たち、特にこどもたちが安心して過ごすことができる場であることを何よりも優先させるためにそのような設計にしました。
利用者の方からは『すごくしんどくて、孤独だったけど、ここに来て誰かがいる、というのが分かるだけで、ひとりじゃない安心感があった』という感想をいただいています。

誰かとくらべなくていい場所

かくれが広報さん:
「かくれが」では、直接的なコミュニケーションはできないですが、たとえば、「こっそりハッキリ発表ルーム」などの掲示板で、他の人が書き込んだ言葉にハートを押すことができます。
ただし、ハートの数は表示されません。誰が押したのかも、書いた人や他の人には分かりません。
SNSでは、バズることをする、映える写真を撮る、いいね数を競うみたいなところが側面としてあり、それがしんどさの要因の一つになっていたりもします。そのため、「かくれが」の中では誰かと比較したり、人気を競ったりするような、現実世界の価値観とは距離を置く設計にしています。
しんどくなった時に、この「かくれが」があるから大丈夫。そんなお守りとして知ってもらえたら嬉しいなと思います。

相談できなくても場所はある

根岸さん:
迷惑をかけてしまう。否定されたり、責められたりするのが怖い。どうせ分かってもらえない。
どう話していいかも分からない。自分よりももっとしんどい人がいる。そんな風に考えすぎてしまう方が少なくないのかなと思っています。
だからなかなか言えなくて、誰にも相談せず(できず)に一人で抱え込んでしまうことがあるのかなと思います。

気持ちを伝えられそうな人には伝えてほしいですが、それがむずかしいときには、「かくれが」で過ごしてみる。そうして、それぞれに合った居場所を見つけてほしいなと思います。

あなたへ

根岸さん:
人と比べなくてもいいと思うんですよね。
相談できる、できない。自分の悩みなんて、他の人に比べたら。もっとしんどい人がいる。まだ自分は大丈夫。そういうことで誰かと自分を比べる必要はないと思います。
自分にとって、ちょっとしんどいな、なんともならないな。そんなふうに感じたら、
それをそのまま受け止めてもらって、もし必要であれば、「かくれてしまえばいいのです」にかくれてみてください。かくれなくても、自分に合った方法があれば、それを使ってみていただくのがいいのかなと思います。

かくれが広報さん:
今はあまりしんどくなくても、この「かくれが」があるんだなと、知っておいてもらえたらと思います。
「転ばぬ先の杖」ではないですが、そんなふうに、この「かくれが」を自分に合う形で利用してもらえたらいいですね。
「かくれが」にかくれたときには、その時々の自分の気分に合うものを選びながら、自分なりに「かくれが」で過ごしてもらえたらと思います。
今はかくれなくてもいいや、という時も、『「かくれが」があるから大丈夫』と思えるような、お守りにしてもらえたらいいなと思っています。

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